リーダー失い募る無念 事件1年半の老人ホーム 印西・睡眠剤混入事件初公判

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事件について語る、亡くなった山岡恵子さんの同僚の女性=9日、印西市(共同)
事件について語る、亡くなった山岡恵子さんの同僚の女性=9日、印西市(共同)

 印西市の老人ホームで介護主任の山岡恵子さん=当時(60)=が交通事故死した睡眠導入剤混入事件は発覚から約1年半となり、施設はようやく平穏を取り戻しつつある。楽しく地域に根ざした施設を目指して同僚たちを引っ張り、入居者の信頼も厚かったリーダー。「今も生きていれば」。当時を知る職員は無念さを募らせながら公判に臨む。

 施設によると、山岡さんは2015年4月から勤務。准看護師として約半年後に勤め始めた波田野愛子被告(72)とも親しそうだったという。

 同僚15人ほどをまとめ、入居者の介護方針を親身になって決めていた。生前に語っていたのは「入居者に楽しんでもらいたい」。地域の学校やボランティア団体との人脈を生かしたイベントを頻繁に企画。各地で相次ぐ高齢者の交通事故に心を痛め、自動車学校の協力を得て交通安全の講習会を開いたこともあった。17年2月の事故死はあまりに突然の出来事だった。

 「まだやりたいことがあったはず。道半ばで残念だっただろう」と涙を浮かべたのは、自身も睡眠剤の影響が原因とされる交通事故で重傷を負った同僚女性(71)。

 めまいなどの体調不良に見舞われたのは山岡さんが亡くなった後だ。職場では他にも体調不良を訴える同僚が相次ぎ、厄よけのお札を用意した。

 被告の逮捕から約1年半。時間はかかったが、施設は本来の方向へ歩みを取り戻した。今年10月、入居者や家族でにぎわった文化祭。「立ち直った姿を見てほしい」。公判にも証人として出廷する女性は山岡さんに思いをはせ、静かに語った。